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しかし、そうした理想も実現に至るまでには非常に多くの問題が存在した。実際に今回のフットサル大会に向けて動き出した時期が遅かったこともあるが、それよりも何の関わりもない地域のサッカー団体が果たして協力してくれるのか。国本さんの不安はその一点に尽きた。

「最初は大学生の部と小学生の部をやりたかったんよ。でも、なんのコネもないわけやんか(笑)。しかも、知り合いの商店街の人に言ったら、この企画はきついだろってはっきり言われて。どうしようかなと思ってたら、蕎麦屋さんを紹介されたのよ。そこの店長が少年サッカーのコーチやってるらしくて。で、その人が新宿区少年サッカー連盟の理事長さんを紹介してくれるって言うんで、会いに行って、その日に飲みに行って(笑)。まあ、意気投合してやね、ゴールとかボールとか貸してくれることになったんだわ」

次々に幸運ともいえる出会いを果たした国本さんは、フットサル大会の実現へ向けて確実に前進していく。ところで、なぜこんなにも多くの人たちが、いとも簡単に彼に説得されてしまったのだろうか。今、国本さんを目の前にして話をしているとその理由がよくわかる。彼は微妙になまりを帯びた独特の口調で、言葉を選びながら、ゆっくりと話す。大きな体躯から発せられる、穏やかで軽妙な彼の言葉使いは人に不安を抱かせない。もちろんそれを裏づける誠実さがあってこそだとは思うが、今回のイベントの成功も彼の話術によるところが大きいと思われる。

「それで、少年サッカーの代表の人らと話していくうちに、今回に関しては本当に時間もノウハウもない中でやってたんで、小学生の部を独立して行うことはできないと思ったんだよ。じゃあ、どうしようかという時に、フットサル大会の期間中に隣のコートで小学生の大会をやることになってて、それとジョイントしようということになったの。つまり試合が終わった小学生のチームと大学生のチームが対戦するという形式で、試合ができるようにしたんよ」

早稲田大学が好きだということでは、みんな同じなんだから

自分たちより年上のチームと対戦することなどまずありえない小学生たちにとって、この試みはかなり刺激的なものだったようだ。

「いや、いい交流になったと思うよ。小学生も喜んでくれたしね、またやりましょうねって。しかも強いんだわ、彼ら、疲れを知らないからね(笑)。でも、やって良かったと思う」

今回は大成功といえるこのフットサル大会。それでは、今後はどうなっていくのだろうか。

「来年またやれよとは言われてますね、サッカー連盟の人からも。せっかく、地域の人とも話し合える関係はできたし、確かにこれを今年だけのものにしちゃうのはもったいないとは思うね」

国本さんが今後にこだわるのには、早稲田界隈の人々との関係を今後も引き継いでいくことが、早稲田大学全体にとっても大事なことだと、骨身にしみて分かったからだろう。

「早稲田という地域には、僕らが誠実さを持って近づいていけば、きちんと受け入れてくれる風土があると思ったんよ。これまでの学園祭は学校主体、学生主体でやってきたわけじゃない。あまりにもその周りで生活している人たちを考慮していなかったというのがあると思うんだよ。それに不満を覚えてる方がたくさんいるということもはっきり分かった。

早稲田祭は一度なくなったわけだから、この際そういう声にもきちんと耳を傾けて誰もが楽しめるものを提示していくべきなんだろうね。早稲田大学が好きだということでは、みんな同じなんだから」

(完)

 

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