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早稲田スポーツ探訪

部活動、或いはサークル活動などで、早稲田の学生は様々なスポーツと日々親しんでいます。自分以外の人が、早稲田でどんなスポーツライフを送っているか、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。体育各部の活動を中心に、早大生のスポーツ事情をコラム形式でお伝えします。

2008/09/18更新  第67回

山岳部探訪 主将に聞く、山の哲学

指導02

指導02

 「今、何でここにいるんだろう?」 山岳部部員にとって、興奮と至福の疑問詞だ。「ここは本当に地球上なのだろうか?」と疑ってしまうような美しい景色の出会い、地図には載っていない道をわけ進む時、はたまた断崖絶壁でのクライミング。そんな時に頭によぎる。 今回は小柳一洋(スポ4)山岳部主将に、山登りの醍醐味と部の活動についてお話してもらった。

 小柳主将は、1年生でモンブランなどヨーロッパの山々に登頂した。しかし、技術が伴わないまま先輩にロープに繋がれて登っていた自身の姿を、「犬の散歩みたいだった」と笑う。それでも、登山が「スポーツ」として確立されているヨーロッパの環境を体感できた。子供から老人までがクライミングを楽しんでいる姿を見て、かっこ良いと感じた。単に「有名な山に登った」という自負とは違う経験が、主将の山登りへの興味を更に掻き立てた。

 山への意識が大きく変わった出来事もあった。2年生の頃、他大山岳部の友人と南アルプスの北岳に1週間かけて登った。足は順調に山頂に向かっていたが、友人が斜面を100M程も滑落し、岩に顎をぶつけて流血してしまうという事態が起こる。万が一の為にいつも数本の「エスケープルート」を用意するのだが、どこのルートに出るにも2日間掛かるという中間地点での事だった。主将が応急処置を施し、幸運にも近くにあった山小屋に辿り着いて事なきを得たが、あわや惨事という経験は、山登りは命掛けだという強烈なインパクトを残したという。「危機察知能力は相当身につきました」。今は主将として、経験の少ない下級生の命を守るために的確な判断を下す。

 山は、1人でも登れる。しかし、あえて「部」というチームで登ることに意味がある。競技性の少ないスポーツなので、他部のように”インカレ優勝”など具体的な目標を掲げて、全体の意思を統一することは難しい。山に登る目的、モチベーションもそれぞれ違う。それは時として主将を悩ませる原因となるが、交差する時に得るものは大きい。年6回行う合宿など複数人で登る時は、危険な箇所はロープに全員で繋がりながら進んで行く。「1年生は上下関係を意識して、無理してしまうことがあるんですよ。『ロープ出すか?』と聞いても、怖いのに『大丈夫です』と言ってしまったり」。主将は下級生の表情を細かく観察して、ロープを出すタイミングを判断するようにしている。また普段の生活から、話しやすい関係を築けるように気を配っている。「山は日常生活の延長線上にあると考えています」。

主将が特に学んだことは、「山も社会も同じだ」ということ。1つの目標を設定して、その達成の為に何が必要かを考え、計画する。仲間と協力しながら「心技体」を鍛えてやれるだけのことをやり、山を迎える。帰ってきたら省みて、次のための準備をする。文字通り命を懸けた部活動から、生き方を知った。 

 現在6人の部員で活動中、そのうち主将を含む3人は「寮費無料、光熱費割り勘、自炊」の東伏見にある山岳部寮で共同生活している。明るい雰囲気が特徴だという。”大学登山のメッカ”・剣岳で、「ひときわうるさいテントがあったら早稲田ですよ」。天候が悪い日は、全員がテントの中で1日過ごす。山が深くなるほど、話の内容も深くなるとか。8月の合宿では、鍋や飯ごうなどを組み合わせたものに食糧のボール型チョコを転がす『ピタゴラスイッチ』ごっこに熱中したり、かき氷のシロップを万年雪に掛けて食べたりしたそうだ。実に楽しそう。

 ちなみに夏休み中の早大生に主将がお薦めする山は、群馬・新潟県境にある谷川岳。日帰りで行けて温泉もあり、絶景が楽しめるそう。意外にも、谷川岳のように頂上までに登り下りがある山の方が、ひたすら登っていく富士山よりも景色が豊かで面白いのだという。是非気の合う仲間と登頂してみてはいかがだろうか。

関連URL
山岳部ホームページ

(TEXT=田辺里奈、PHOTO=山岳部提供、EDIT=池田恩)
 


 
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